the book behind her novel カウガールたち|山内マリコ

時代の空気を繊細にすくい取る筆致で、多くの読者の共感を集める小説家、山内マリコさん。デビュー作『ここは退屈迎えに来て』をはじめ、『アズミ・ハルコは行方不明』や『あのこは貴族』など、これまでに発表した作品の多くが映画化されている。また、アートやカルチャーにも造詣が深く、その活躍の場は多岐にわたる。そんな彼女にも、かつて思い悩む時期があったという。“小説家になりたい”と悶々としていたとき、その思いに芽が出るきっかけとなったのが、アメリカの作家トム・ロビンズの小説『カウガール・ブルース』との出会いだった。

optimistic solitude 楽天的な孤独|寿木けい

日常の景色を鋭い視点で描いた、滋味あふれる文章で人気を集めるエッセイストの寿木けいさん。元は編集者で会社員をしながら執筆業を始め、3年前には長く暮らした東京を離れ山梨に移住。そこでは古民家を改修した宿の主にもなった。5人姉妹の末っ子として生まれ、いつもひとりでいたことが生き方に大きく影響しているという。時に大きく舵を切りながら進むしなやかな人生、そして豊かな表現の背景にある孤独について。

a story of my grandmother 大草原の小さな家と大きな大きな私の家|小林エリカ

作家・小林エリカさんは、放射能の発見や戦争など歴史の記録に残る事柄を作品のテーマとして扱いながら、そこに地続きにあったはずの日常にも目を向ける。歴史に名を刻むことも書き留められることもなかった、誰かの人生の尊い瞬間。それを描きたいという強い思いの根底には、彼女の祖母の存在がある。