forged through rhythmic gymnastics, from performer to creator  表現と創作をつなぐ、新体操で培った継続力|カイノユウ
forged through rhythmic gymnastics, from performer to creator  表現と創作をつなぐ、新体操で培った継続力|カイノユウ

forged through rhythmic gymnastics, from performer to creator 表現と創作をつなぐ、新体操で培った継続力|カイノユウ

photo takahiro idenoshita
text nico araki

2026.05.15

静岡県で茶葉の香りに包まれて育ち、12年間打ち込んだ新体操で心身を鍛え上げた学生時代。それが、モデルであり、日本茶ブランド〈SA THÉ SA THÉ〉のオーナー、そして一児の母として多忙な日々を送るカイノユウさんの原点だ。表現者として第一線で活躍し続けながら、自身のルーツである“お茶”を通して新たな世界を創り出す彼女。未知の分野での手探りの挑戦を支え、前へと推し進めるのは、幼い頃から培ってきた「一度決めたら辞めない」という強い信念だった。

カイノユウ

静岡県出身。2014年、ファッション誌でモデルデビュー後、雑誌やカタログ、広告を中心に活躍。2020年に自身の故郷の茶葉を扱う日本茶ブランド〈SA THÉ SA THÉ〉を立ち上げる。

instagram @kainoyu

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当たり前の存在を失うことで

気がついた自分の原点

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カイノユウさんが生まれ育ったのは、緑茶の産地である静岡県。実家は、茶葉の袋詰めなどを行う包装資材の会社を営んでいた。

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「うちは包装資材の会社でしたが、地域柄、お茶の梱包が多く、茶葉をブレンドする業務もしていたので、いつもお茶の香りが漂っている環境に身を置いていました。新茶の時期は、家族みんなで助け合って倉庫に集まり、ひたすら作業をしていましたね。そんな風に、お茶で四季を感じるくらい、私にとって身近な存在でした」

大学進学を機に上京。実家を離れても、彼女を身近で支えてくれたのはお茶の存在だった。

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「上京して以来、実家からずっと送ってもらっていた水出しのお茶があったのですが、パンデミックの影響で廃盤になってしまったんです。東京では自分の口に合う茶葉に出合えていなくて、私はこれからどこでお茶を買えば良いのだろうと愕然としていました。ちょうどそのころ、モデルの仕事も少し減り、自分のことを見つめ直す時間がたっぷりあったんですよね。そこで、自分が本当に好きなものは何だろうと立ち返って考えたとき、いつも当たり前のように飲んでいた“お茶”に行き着いたんです。もうこうなったら、自分で水出しのお茶を作ろうと思い立ちました」

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そのとき、真っ先に彼女が相談したのは父親や地元の知人。そうして、ずっと愛飲していた“水出しのお茶”を再現した。

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「単発で終えるつもりだったのですが、販売してみたら想像以上に反響があって今に至ります。ポップアップを開催すると『おいしかったです』と言ってもらえる、直接的な反応が何より嬉しいですね。一見、お茶とは縁遠く思われるモデルの私や友人が発信することで、これまでお茶に興味を持たなかった方にも届いているようです。地元の茶舗さんも喜んでくれていて、それもまた励みになっています」

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当初、長く続けることは考えていなかったというが、その後も日本茶ブランド〈SA THÉ SA THÉ〉として、続々と新作を発表。コラボレーションやイベントへの出店を行いながら、今年で5年目を迎える。

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ブランドを立ち上げたときに販売した〈SA THÉ SA THÉ〉の水出しのお茶。

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柔らかな緑がまろやかな味わいを想像させる。「水と茶葉を合わせて数時間置くだけでできるのが水出しの魅力。緑茶は気軽に飲めるものであることを広めたいと思っています」とカイノさん。

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学生時代に培った

継続することが実を結ぶ感覚

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いくらお茶が身近だったとはいえ、モデルとして活動してきた彼女が、全く異なる分野で始めた新たな挑戦への努力は計り知れない。また、その実行力にも目を見張るものがある。そこには、学生時代に打ち込んだ新体操を通して築かれた信念が大きく影響している。

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「幼い頃から親戚の前で歌ったり踊ったり、人前に出るのが好きでした。小学校の新体操クラブに入ったら、とっても楽しくてどんどん夢中になっていったんです。髪をピシッとまとめてレオタードを着るのも好きでしたし、仲間と積み重ねてきた練習の成果をわずか数分に凝縮して臨む、あの緊張感。うまく言葉にはできませんが、胸の奥を掻き立てられるものがありました。高学年になると、地方の大会へ出るために遠征をしていたのも懐かしいです。無理な動きをするので身体を壊してしまったこともあり、小学校を卒業したら辞めようと思っていたのですが、中学に入って先輩の勧誘を受けて、気がつけば12年間続けていました」

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観る者を魅了する美しいパフォーマンス。しかしその陰には、アスリートとして向き合う、過酷な現実も待ち受けていた。

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「披露する競技なので、体重制限や身体作りはかなり厳しかった記憶があります。団体戦だとみんなが揃っていなくてはいけないから、日焼けも避ける必要がある。今とは価値観や基準が異なる時代でもあり、体重が500g増えただけで怒られてしまうような世界でした。今思えば、成長期だから身長も伸びるし体重が増えるのも普通のことなんですけどね。でも、当時は必死だったから、自然な体の変化に抗わなくてはいけないのが辛かったですね」

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モダンでありながらどこか温かみのあるラベルが素敵。〈SA THÉ SA THÉ〉のロゴデザインは、グラフィックデザイナーのKOHJI FUKUNAGAさんによるもの。続々と展開する商品のパッケージは、周囲のクリエイターと一緒に作り上げている。

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定期的に糸島の醸造所〈CAMOSI BREWING〉とも協業し、茶葉をブレンドしたクラフトビールも販売。パッケージにプリントされた、パワフルな筆使いのドローイングは、カイノさんが中学から高校までをともに過ごした同級生の画家・佐貫絢郁さんが手掛けている。

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厳しい環境でも続けられた背景には、何事も継続することで見えてくるものがあるという確信があったから。

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「乗り越えられたのは、もちろん仲間と挑む達成感もありますが、いつからか抱いていた“一度決めたら辞めない”という自分の信念が根底にあるからかもしれません。その考え方は今でも変わっていません。何でも決めたら真面目に取り組みたいので、気になったらまずは触りだけでも試してみる。もちろん、向いていないこともありますが、自分に合うとわかったらとことん突き詰めています。続けていればいつか結果が出ると信じています」

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見る側から見られる側へ

モデルという職業

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モデルの仕事も今年で12年目を迎える。カイノさんの信念はここでも健在だ。しかし、学生時代は自分がモデルになるとは全く考えていなかったという。

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「中学生くらいから、お小遣いのほとんどをファッション誌に費やしていましたね。家と学校の途中にある書店に立ち寄っては、毎月異なる雑誌を購入して、最新の服やモデルさんを見るのを楽しみにしていました。ティーン誌の『セブンティーン』から、『ジーナ』『グラマラス』『グリッター』のようなギャル系、『装苑』などの青文字系まで、とにかく読むジャンルは幅広かったですね。海外セレブのスナップもチェックしていました。キラキラした世界への憧れはありましたが、静岡に住んでいるし、新体操にも真剣に取り組んでいたので、自分がモデルになるとは思いもしませんでした」

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お茶ブランドと聞くと、四季折々の茶葉を扱う商品展開を思い浮かべるが、〈SA THÉ SA THÉ〉はそうしたイメージとは少し異なる。好みの味を求めて、地元の農家さんが作ったチャイシロップまでディレクションしてしまうのだ。

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モデルを仕事にしようと意識したのは上京後のことだった。

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「東京の大学に進学してすぐに渋谷のアパレルショップでアルバイトをしていました。とても美意識の高いお店で、ショップスタッフはいつでもかっこよくいましょうというスタンス。家を出てから帰るまでヒールを履くのがルールだったり、他にもいくつか決まりごとがありました。そんな風にファッションへの探究心が強い店だからこそ、スタイリストさんも頻繁に出入りしていて、そこでモデルに誘ってもらうことが増えていったんです。ヘアやブランドのカタログの仕事を受けるうちに、事務所に所属することを決意し、活動に本腰を入れました。モデルって撮られているだけに見えるかもしれませんが、撮影現場ごとにスタッフも求められるテイストも違うから、毎回その場の空気を読み取って、お互いにイメージを共有していく必要があるんですよね。新体操をしていたので身体表現には自信はあったのですが、周囲を見る力は経験を積んでいくうちにやっと身についてきました」

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今や、モデル活動に加え、日本茶ブランド〈SA THÉ SA THÉ〉のオーナー、そして一児の母という顔も持つカイノさん。慌ただしい日々の中で、複数の役割を切り替えながら過ごす彼女にとって、“心身ともに健康であること”が何よりも重要だという。

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「子どもと同じ食生活を送っていると自然と健康に意識が向くようになっていくんです。保育園で風邪の菌ももらってくるとどうしてもうつってしまうので、健康であることの感謝も身に染みるようになりました。身体は資本だと感じます。Netflixでビヨンセの『HOMECOMINGS』を観たり、ダンサーのAmi TakashimaさんのInstagramをチェックしたり、パワフルな女性の姿を観て気持ちを奮い立たせる時間も大事にしています。心身ともに健やかであるからこそ、いろんなことに真剣に取り組めるんですよね」

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presented by

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