

montmorillonite museum vol.04|伊藤 紺
visual work tetsuya nagato
text hiroko ishiwata
2025.02.28
伊藤 紺(いとう・こん)
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なまえってふしぎなほうが
長く続くような気がする
明るいから
この世のほとんどのものには名前が与えられていて、名前がもつ響きと実体は常にそのイメージを更新し合っている。名前とは、人間が世界と長くかかわり続けるために編み出した魔法だ。
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モンモリロナイト。このふしぎな名前が、粘土のもつ仕組みや効果、微細で白く美しいその姿と混じり合い、わたしの心にイメージを結ぶ。
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意味で埋め尽くされていない「ふしぎさ」には余白がある。そこがぼんやりと、まるでレースのカーテンのように世界の光を通し、印象が心に焼きつくのだ。
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〈column on montmorillonite〉
モンモリロナイトの名前の由来
モンモリロナイトの名称は、フランスのヴィエンヌ県にある「モンモリヨン」に接尾語の「-ite」が付いたことに由来します。この「-ite」は、ギリシャ語の「λίθος(lithos:石)」を起源とし鉱物や化石の名称に広く使われています。たとえば、同じ粘土鉱物の「イライト(illite)」や化石の「アンモナイト(ammonite)」などが挙げられます。化石も粘土鉱物も、長い時間をかけて形成される自然物であるという共通点が、「-ite」という接尾語に象徴されています。
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