montmorillonite museum vol.08「Finches」|原田 光
photo taisuke nakano
text & edit sakiko fukuhara
2026.04.30
原田 光(はらだ・ひかる)
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小動物のような
“日用品”の存在
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グラフィックデザイナー、原田光さんの視線の先には、いつでも日用品や民芸品の姿がある。動きだすような曲線と緊張感のある直線で構成されたグラフィックは、色数を絞ることで“かたち”の個性が際立つ。そして、それらの“かたち”は主に台所にある日用品がモチーフになっているそうだ。
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「実家が山形県にあるのですが、祖父母と古い日本家屋に住んでいました。昔の木造住宅なので内と外との境界がなだらかなのですが、外の木々や雪と室内にある物が調和しているような感覚がありました。たとえば早朝にキッチンが雪と陶磁器の反射光で満たされていると、器がとても瑞々しく見えるんですよね。なんの変哲もない無機的な道具であっても、ひっそりとした生物のような存在感を見出していたことを覚えています。モチーフ自体は日用品ですが、作品のベースにあるのは個人的な“親しみ”です」
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電気ケトルやマグカップをモチーフにしたドローイング。毎日手にする日用品の“佇まい”が、原田さんの視点を通すことで有機的に変換される。「色々な要素を省きながら描くことで、モチーフが生活の道具や消耗品としての意味合いから離れて、素朴な形のまま見えてくるようになります」
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「食器や道具に感じる生き物のような存在感」がベースとなり、新しく生まれたのがセラミックの立体作品。
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「平面から立体になっても、自分の造形のクセってそんなに変わらないものですよね。曲線の取り方や厚みの持たせ方という点で。このペーパーウェイトの名前は『Potato Mouse』。ファウンドフォトで見つけた新聞の切り抜きに“動物に見える野菜”っていうコラムがあって。そのコラムもそうですし、生き物を別の何かに見立てた民芸品なんかも好きなので、そういったユーモアが起点になって生まれた作品です。くだらないことなのですが、そうした素朴でファニーな物との距離感っていいですよね」
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「Potato Mouse」と名付けられたペーパウェイト大小と、マグカップを象ったマグネット「Kitchen Talk」。手で包み込みたくなるようなコロンとしたフォルムが心に残る。
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原石から“鳥”のシェイプを探す
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今回、原田さんがまず手にしたのは10cmほどのモンモリロナイトの原石。はじめは粉末を水に溶かし、粘土からの造形も考えたが、水に溶けやすいモンモリロナイトの性質上、成形が難しかったという。そこで「原石を削る」という方法で、彫刻作品『Finches』が生み落とされた。モンモリロナイトを食べる習性を持つ鳥「コンゴウインコ」のストーリーに着想を得て、2種の鳥をモチーフに成形。石本来の姿から、鳥の造形を導き出していったという。
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「まず原石の形をいろんな角度からじっくり観察して。原石そのままのシェイプの中に、鳥として見えるラインを探り、それに沿って削り出していきました。ゼロからの造形と異なり、原石の質量よりも増やすことができない。それが制約でもあり面白い点でもありましたね」

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石にラインを引きながら、鳥のかたちをイメージしていく。「石膏よりも硬いけど、キメが細かいので、ヤスリや彫刻刀でサクサク削ることができました!」
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つややかな面と
無骨な質感のコントラスト
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愛らしい彫刻作品は、自然の風化による石のざらつきを活かすことで、より生き物のような表情を見せる。作業を進める中で感じた不便さが、作品に不調和なリズムを与えてくれた。
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「彫刻刀でゾリゾリと削り、ヤスリで磨いてくと、どんどん滑らかに。ただ脆さもあるので、石本来のテクスチャーが残ってしまう箇所もありました。そのコントラストが面白くて。尻尾の羽根が重なりあう部分もそうなのですが、石そのものの質感を“鳥”の造形に落とし込めたら、すごく綺麗だなと思い、あえて部分的に石の表情が残るように意識しました」

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「原石を見た時は、わりとグレーな印象。研いでいくと面が整い、光をきれいに拾うようになるので、どんどん白くなっていくんです」
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丸くなる鳥の裏面は石本来のざらつきをそのままに。羽根のニュアンスを彷彿とさせるテクスチャーが面白い。
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「いちばん苦労したのが“目”。粉末からの粘土状にするのは難しかったのですが、原石を削り出した際に出た粉を使ってみたら粘土になったんです!目の部分だけは、その方法で成形しています」
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〈column on montmorillonite〉
モンモリロナイトの豆知識
クレイを含んだ土を食べる習性があります。
一つは、胃腸のデトックス。
クレイの持つ吸着力を利用し、
毒素や重金属を体外へ排出する
